開催報告参加者インタビュー4

商業界ゼミナールに参加して分かった「商売とは何か」
今、人生は最高におもしろい!!

有限会社ミシロゴルフ 三城邦裕さん

南国・宮崎の人らしく、穏やかで温かい雰囲気ながら、商売とゴルフについて語るときにはひたむきで熱い。「ゴルフ上達請負人」として、ゴルフに悩む人々の相談に応じている。「何時間でも教えます。感動するほどうまくなってもらいたいから」と語る。

三城邦裕さん

宮崎市の老舗ゴルフ用品店「ミシロゴルフ」の代表・三城邦裕さん(59歳)は、正しい商いの理念を説いた「商売十訓」をはじめとする商業界精神に懐疑的だったと語る。
「地方ゼミ(※1)には参加していたので、商業界の教えは知っていたんです。でも、人間としてどう生きるかとかの綺麗ごとばかり並べているように思えてしまって。そんなことが、儲けることとどう関係あるの?と思っていました」

5年前に閉店し、その後は「ネット販売を少しだけね」と言う三城さんだが、その表情は明るい。初めて参加した第86回商業界ゼミナールで商いのヒントをつかみ、具体的な手応えを得ているからだ。

祖父は地元で人気を博す大型総合食料品店を営んでいたが、ダイエーが進出してきた昭和40年代に廃業。当時小学5年生だった三城さんは「つぶれた店の子」として後ろ指を指されることになった。しかし、三城さんの父母が当時伸びていたゴルフ用品事業だけを譲り受け、運営することに。市内に競合もなかったことから店はみるみる大きくなった。
「でも、僕は商売に興味がなくてね(笑)ゆくゆくは教師になろうと思っていました。なのに親から『店を改装したし、継いでほしい』と頼まれて。当時は物を並べれば売れるという状態だったからなんとかなるかなと引き受けましたが、2~3年後、市内に大型量販店ができました。競合はフルメーカーラインナップ。
そこでうちは取り扱いを国内トップのミズノに絞り、かけ率を下げてもらうことで利益を確保しました」

ミズノにヒット商品があるうちはそれで良かったが、ヒットが出なければ当然売れなくなる。また、お客が別メーカーのものを買いに来ても対応することができない。そういうお客に自店の商品を勧めて購入に至ったとしても、結果が出ないとなると反感を持たれてもう店に来てもらえなくなる。
お客さんは欲しいものが欲しい。こちらの都合で品物を売る店に、お客さんがついてきてくれるわけがないですよね

「人格を否定されたような気持ち」
転機は一本の電話から始まる

売上げはじりじりと減っていったが、もともと勉強熱心な三城さんだ。苦境を乗り越えるべくさまざまなセミナ―や会合で情報を仕入れ、策を講じたがうまくいかない。ゴルフ用品以外にも商機を探したが、目ぼしいものは見つからない。商いはいよいよ行き詰まりを見せた。
「一番良くないのは、問い合わせの電話さえなくなることですね。忘れ去られているということですから。それから、ネットで商品を買ったお客さんが嬉しそうにその品物を見せてくることがある。それがものすごくこたえました。悪気がないのは分かるんですけど、人格を否定されているような気持ちになって……」

鬱状態になっていった三城さんに、最初の転機が訪れる。
お客から「腰が痛くて歩けない、良い整体師を教えてほしい」という電話があった。三城さんは職業柄たびたびこのような相談を受けており、そのたびにある整体師を紹介していた。カリスマと呼ばれているわけでもなんでもないが、ただ真面目に、そして丁寧に仕事をする青年だった。
翌朝、件のお客から電話があった。「紹介してくれてありがとう。おかげで歩けるようになった、本当にありがとう」――そう繰り返して泣いていた。三城さんはふと、自分は果たしてこれほどまでにお客を感動させ、満足させたことがあっただろうか?と省みたという。
1人のお客も心底満足させられていないのに、売上げばかり追求するのはどこか間違っている――目が覚めたような気持ちだった。同時に、商業界精神が訴えているものに商売のエッセンスがあるのでは、とも気付き始めた。

2017年に商業界九州・沖縄ゼミが宮崎で開催されることが決まった際に、有志より三城さんが事務局長に任命された。自身の再起に繋がる力試しと引き受け、500人規模のゴルフコンペを開催していた頃のノウハウを生かし、定員400人のところ見事390人を集客。会を成功に導いた。
それまで三城さんは商業界ゼミナールに参加したことはなかったが、「地方ゼミの事務局長まで務めた者が本ゼミ(※2)に参加したことがないのはいかがなものか。ぜひ行ってきなさい」と九州・沖縄ゼミの事務局に声を掛けてもらい、初参加を決めた。

商売に大切なのは「人生観」
SNSで自分自身を知ってもらう

他社のネット通販の脅威を克服したいという思いから、ゼミではSNS関連の講義を中心に受講した。
「エクスマの藤村先生と、ど演歌チラシの山田先生の講義を受けて、目からうろこが落ちました。それまで僕は商品と値段だけアピールする売り方をしていました。でも先生方は、物を売らんとするのをやめて自分自身の価値を売れとおっしゃっていた。つまり、人生観を知ってもらうのが大事、と」

ゼミ後、三城さんはすぐにスマートフォンにSNSアプリを入れた。毎日フェースブックとインスタグラムに投稿すると、思っていたよりもずっと大きな反響があった。
ゼミで学んだことを踏まえ、商品や価格ではなくあくまで自分の好きなもの、自分の生活を形作っているものを投稿していった成果だ。
「妻が経営している猫カフェの猫、好きなレコードのジャケット、食べ物の写真、そしてゴルフに関する思い出の品――僕の人生がここに詰まっています。いいねをしてくれる人のプロフィールを見てみると、驚くほど僕と共通点がある。そういう人たちに向けて商売をやるほうが楽しい。自分の人生観と合わない人たちに迎合する必要はないんだと思うようになりました

猫カフェ ジャスミンライス 外観
三城さんの奥様が営業している「猫カフェ ジャスミンライス」。営業時間は木曜〜日曜 11:30〜19:00。こちらの店舗でもインスタグラムを始めてから来客が増えたそうで、三城さんは「妻に『あなたが習ってきたことで初めて効果があったわね』と言われましたよ」と笑う。

もともと三城さんには顧客リストがあり人脈もあったが、今まではそれを活用できていなかった。ゴルフ用品は高額なため家人に内緒で購入しているお客も多く、DMを送るなどの販促を充分にできなかったという。
しかし、SNSは個人でログインして楽しむものなので家族の目を気にする必要はない。また、三城さんは誰もが知っているゴルフ界のスーパースター達とのツーショット写真や貴重な記念品などを数多く所持している。絶好の「インスタ映え」の材料だ。

お客に会うたび「最近よく投稿しているね」と声を掛けられる。「これが大事なんだなと思いました。何か買いたいと思ったときに、他の店じゃなく僕のことを思い出してもらえるようになった。だから問い合わせも注文もすごく増えたんですよ。自分の存在が認められていると思いました」自分の存在意義を否定されているように感じていた三城さんのこの言葉には、感慨深いものがある。
「僕はね、商売ってなんなのかな、それを分かりたいなってずっと思っていたんです。商業界ゼミナールに参加して分かったんですよ。商品を通して自分と他者の人生を繋ぐことなんだ!って。それから人生が飛躍的に面白くなりました

過去を振り返ったときに惜しむらくは、商業界活動をしている先輩にもっと早く出会えなかったことだという。
三城さんは「これからは若手を育成していきたいですね。僕を救ってくれた教えを受け継いでいきたい」と瞳を輝かせる。商売とは何かと長年求道し、見事自分の答えをつかんだ三城さんは、ある意味真の商人としての夢を叶えたともいえる。教師という学生時代の夢も、時を経て、形を変えていつか叶うものなのかもしれない。

猫カフェ ジャスミンライス 内観
猫カフェ ジャスミンライス 内観
木目とオレンジが基調のほっと温かく、安らげる内装。テラス8席、テーブル15席、カウンター7席の合計23席。一般的な猫カフェは時間制だが、ジャスミンライスでは飲食のオーダーさえすれば時間無制限で猫との時間を楽しめる。

会社概要

有限会社ミシロゴルフ
代表 三城邦裕

所在地 宮崎県宮崎市末広1-9-45
電話番号 0985-22-5001
(同住所にて「猫カフェ ジャスミンライス」も営業中)
公式サイト https://golfmashie.jimdo.com/
Instagram  https://www.instagram.com/kunihiromisiro/
Facebook  https://www.facebook.com/%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%83%95-%E3%82%AB%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84%E3%81%AE%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%BC-306835836033090/

※1 商業界主幹・倉本長治が提唱した「商売十訓」を綱領とし、商業界精神を啓蒙・実践する商業界全国連合同友会による地方セミナ―。
※2 毎年2月に東京近辺で開催される商業界ゼミナールを、※1に対して本ゼミと呼ぶ。