開催報告参加者インタビュー2

商業界ゼミナールでの「自分大好き!」な人たちとの出会いが
もやもやしていた日々をきらきらに変えた

coco彩果 箕田啓子さん

ご覧の通り明るく人懐こい笑顔が印象的だが、若くして自社の閉店作業にも立ち会い、「閉店当日の朝礼では、申し訳なさで言葉が出なくなることもあった」と苦しかった思いも語ってくれた。

箕田啓子さん

「ゼミナールの皆さん、すっごい自由だなーって思いました!自分を覆っていたもやもやが晴れた気分です」はじけるような笑顔でそう語る石川県同友会(※1)の箕田啓子さん(35歳)は、食料品のネット通販店「coco彩果」で店長を務めている。

取り扱うのは主に製法や素材にこだわりが見える北陸産の商品だ。箕田さんは同店を「食料品のセレクトショップ」と表現し、かわいい盛りの2歳の息子さんの様子を店のブログにアップしては「子どもの未来の体を作るのは今の食事です」(原文ママ)と綴る。この健康への意識の高さはどこから来るのだろう、と話を伺っていくと自身の背景を語ってくれた。
「実は、ここ石川県で一番最初にスーパーマーケットをつくったのは祖父だったんです。若かりし頃の祖父が商業界の勉強会でスーパーマーケットという業態があるということを知って、当時住んでいた能登から出てきて片町に出店したのが始まりでした」

祖父は「体を養う」という意味の「体養(たいよう)店」という健康特化型の店舗をつくったり、大手の有名ドリンクが体に良くないと知ってからはいくら売れ筋であっても仕入れをやめたりするほど健康意識が高い人だった。店は地元に愛され56年の歴史を紡いだが、4年前に廃業。途中からは箕田さんの父が代表として奮闘し、経営数値の改善を見せていたが残念な結果は免れなかった。

「祖父はどんな人からも慕われていましたが、入り婿として事業を引き継いだ父は不器用で誤解されやすい性格。店を立て直そうにも周囲の充分な協力が得られなかったり、もっとこうすればいいのにと思うことも多かったりして――娘としては歯がゆかったですね。本当はとても愛情深い人で、店のこともスタッフのことも大事に思っているのを分かっていましたから」

廃業も、ネット通販は継続
思いと強みを存分に伝える

商人である祖父、そして父を間近で見てきた箕田さんにとって、店を継ぐのは自然なことだったという。特に、祖父は人格者であり地元の名士として支持されていたため、幼い頃から待望の後継者として従業員や取引先の期待を背負ってきた。そのため若くして経営者的視点を培ってきた箕田さんは、時に憤りを感じながらも冷静に自店の現状を分析していた。
「価格競争になってしまったのが敗因だと思っています。祖父の代から、一般的なスーパーマーケットでも買える普通の商品も置いていれば健康意識が高い『良いもの』も置いているという店だったのに、その『良いもの』を適正価格で売る仕組みができていなかった。
一般的なメーカーの食パンを安売りして、その横に無添加の食パンを同じ値段で並べる、みたいなことをしていたんですよ(笑)こだわりある商品の特長や店のポリシーを伝えるということができていなかったんです」
同様に、農薬はもとより肥料まで気にかけて野菜の仕入れを行ったり、手間とコストを掛けてでも長持ちする処理を施したりしていたが、いずれもお客に周知されていたとは言い難いという。
「リアル店舗でこだわりや思いを伝えたくても、発信できる情報量に限りがある。自店の良さを生かすには、存分に文字情報を載せることができるネットが向いているのではと思い、ネット通販事業だけを残して運営することにしたんです」

ネット通販は楽天に出店する形式で15年ほど前から開始しているが、単独で採算ベースに乗せるところまではたどり着けていない。利益を出せずにいることに焦りを感じる中、同友会で配られた商業界ゼミナールのパンフレットを読み、前向きに変わるきっかけにするべく初めての参加を決めた。

もともと石川県同友会で商業界精神を学び、定例会やセミナ―にも出席してきた箕田さんだが、商業界ゼミナールほどの大規模セミナーに参加するのは初めて。8万円の会費を払い、3日も家を空ける決意をして関東まで来たのだから、取りこぼしのないよう朝から晩まできっちり勉強しよう!と思っていたが――。

学びが多すぎて頭がいっぱいになってしまって。夜、参加者の方々が集まる場で『皆さん、講義で得た知識をどうやって整理しているんですか?』と聞いたら、『そんなこと考えなくていいわよ。疲れちゃうでしょ?勉強したっていう自己満足だけ持って帰ったって意味ないのよ』とすごくクールに言われて(笑)でも考えてみたら、本当にそう。余すことなく講義を聞こうと思っていたけど、それじゃ余裕がなくなってしまう。自分で掲げたテーマに沿った収穫が何か一つでもあって、それが実践できるならそれでいいんだなと思えた

確かにクールな言い方ですね、と記者が言うと「でも、感謝しています。それに温かい人たちもたくさんいましたよ(笑)」と笑顔を見せる。
「日頃から和服に日本髪でお店に立たれていて、そのスタイルのまま参加されていた方や、ご自分をキャラクター化して販促に生かしていらっしゃる方ともお話しする機会があって。その人たちは、自分のことが大好き!(笑)もちろん、すごく良い意味です。人からどう思われるかなんて気にせず、自分のやりたいことを全力でやって、自分の人生は自分が主役!と輝いている。そんな姿に衝撃を受けました」

趣味や好きなことと仕事は地続き
興味があることはまずやってみることに

今でこそ明るくよく笑う箕田さんだがゼミ参加前までは前述の通り悩みのさなかにあり、勢いで事業を手掛けてしまったのではないか、いつになったら利益を出せるのだろう、やりたいことがあっても踏み出せない――と毎日鬱々としていたという。それどころか、きらきらと輝いている人たちを見ているのさえしんどい、と思っていた。
「でも、きらきらしている彼女たちを見て、生き様や好きでやっていることと商売は地続きなんだって深く理解できましたね。わたしはそれまで、趣味は趣味、仕事は仕事って思っていましたから。今回講義を受けた坪井先生も『SNSで発信するようなことが何もない、なんて言う人がいるけど、あなたたちには経験や趣味や好きなものがあるでしょ。それを書くだけだよ』とおっしゃっていて、ああ、そういうことかって思いました。自分の中にあるものが、なんだって仕事に繋がるんだなって」

商業界ゼミナール参加後、箕田さんは前々から興味があったカメラ教室に入った。お金も時間も掛かるし、こんなことやってる場合?と躊躇していたがようやく踏み切れたという。
ゼミ後にインスタグラムを始め、どんなに忙しくてもフェースブックやメルマガ、ブログなど何かしら週に一度は更新を心掛けている。また、それまでなんとなく分かったつもりでいた計数管理を学び直したり、出店しているネットショップのモール側の担当者にメルマガ内容やクーポン配布のタイミングについてアドバイスを仰ぐようになったりと、商いに対しての姿勢が積極的になったそうだ。
「祖父と父が繋いでくれた店は形としてはなくなってしまったけど、それで終わりにしたくない。今の事業をきちんと利益を出せるよう育てて、心を継いでいきたいですね」そう語る箕田さんはきらきらと輝いている。

店舗情報

coco彩果 https://www.rakuten.co.jp/cocosaika/
店長のブログ https://shop.plaza.rakuten.co.jp/cocosaika/
facebook  https://ja-jp.facebook.com/cocosaika/
Instagram  https://www.instagram.com/cocosaika001/

※1 商業界主幹・倉本長治が提唱した「商売十訓」を綱領とし、商業界精神を啓蒙・実践する組織。地域ごとや業種別のものが存在する。