
2017年6月号
商業界
店は、お客に喜びを提供する場。しかし、毎日そこにいるとお客のためよりも自分の都合を優先し、お客よりも商品を主役とした“しつらえ”になりがちです。
もうけをもたらすのは商品ではなく、お客なのだということを忘れてはいけません。
お客の心理を捉える「店のしつらえ」を実践し、客単価と購入率、さらには荒利を伸ばしましょう。
A4変型/04429-6/2017年5月1日発売
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目次
●読者参加特集 日本全国320超の応募から厳選!
第8回商業界チラシ・DM大賞 結果発表
[大賞]
渡辺酒造店(日本酒製造/岐阜・飛騨市):スポーツ新聞のインパクトをチラシで再現
[優秀賞]
アサヒ商会(文具店「ハイノート」/群馬・高崎市):楽しいことはいつも文具から!
ファッションプラザふじや(衣料品店/長野・千曲市):今、このパンツしか売れてません!
[入賞]
コープみらい:どどーんと肉フェス!
みちでんき:マンガでの表現が秀逸!
セブン‐イレブン富士市厚原店:専門店に負けないうまさ
Yショップ中久保店:地域密着店ならではの傑作
[審査委員賞]
カネキュウ本店ブルーオニオン/さらしな/タイヤ館真庭/森利工務店/出逢い工房竹山
[総評]チラシ・DMは時代とお客の変化を映し出す鏡
●実務特集 プチ改装で専門性や親しみやすさを伝える!
客単価と購入率を伸ばす“店のしつらえ”の技術
・お客視点の改善で客単価と購入率を伸ばし、在庫は減らせる 〈山田文美〉
[実践事例]
ほっとはーとやまだ(時計・メガネ・宝飾店):独自の世界観を表現し、店が欲しいお客を喜ばす
ヱビスヤ薬局:業界常識を超えたしつらえで信頼感と専門性、客単価アップ
Yショップ中久保店(コンビニエンスストア):おいしさ、やさしさ、おもしろさで地域の人々の心をつかむ
やお(衣料品・寝具・健康用具他):お金をかけないDIYで薄利多売から適利適売へ転換
●緊急実務特集 欠員の店が今すぐやるべきこと
[採用メディア]特色を活かし使えるものは全て使う 〈岡本文宏〉
[主婦・シニア採用]狙い目はシングルマザー シニアは年齢より能力を 〈赤沼留美子〉
[外国人採用]日本語力より日本適応の意欲を見る 〈嘉悦弘一郎〉
[法令遵守]知らずに“ブラック企業”!? この5項目をチェック 〈久野 航〉
[離職防止]“話が違う”を減らす採用面接 〈福島りの〉
[休み方]お客も店も困らない引き継ぎ10カ条 〈堀田泰希〉
[注目事例]
てんてん(居酒屋):対話を増やし3年で従業員が10倍に
みどり商事(ダイソーFC):70歳定年のNCを尻目に実力シニアを採用
ママスクエア(業務委託):コールセンターに保育スペースを併設
●特別企画 活用できるヒントあふれる! 全国専門店ディスプレイ傑作選
第13回JSA大賞2016年受賞作品発表 〈椎野伝一〉
[クローズアップ大賞受賞企業] 銀座マギー
色が魅力のブランドイメージを表現したディスプレイ
●実務企画 特定小電力トランシーバー特集
・人材不足時代に再評価「特定小電力トランシーバー」活用法 〈三浦紀章〉
《注目連載》
・ワクワク系的商いの未来 心の時代のビジネス人間学 〈小阪裕司〉
[第4回]顧客とつながり、顧客を育てる商い
・日本全国まちゼミ商人名鑑 シーズン2 店を繁盛させ街を元気にする“まち商人”の実践 〈山本明文〉
[第3回]長岡まちゼミ実行委員会(新潟・長岡市) 小野淳一
・エクスマの真理 さあ、常識から逸脱しよう 〈藤村正宏〉
[第4回]真理は変わらない
《好評連載》
・すごはんまっす~のたのしごと販促講座 〈増澤美沙緒〉
[第32回]あなたから買いたい! 押し売りせずに売れる「すごい接客」
・本日開店◇編集者からの手紙「“活かして生きる者”に向けて」
・私の商い道 時代を超えて受け継がれる商いの誠
浅川園 古舘邦彦(茶舗/新潟市) [第4回]
・ニッポン勝人塾 〈佐藤勝人〉
[第52回]業界日本一に謙虚に学ぶ? だからアンタは負けるんだよ!
・坂本光司の世界に自慢したい会社
[第68回]スズキ機工(産業用自動機械製造他/千葉・松戸市)
・商人の本棚:『伝えることから始めよう』
・今月の秀逸コトPOP 〈山口 茂〉
[vol.54]WESTERN(カジュアルショップ/東京・武蔵野市)
《お知らせ》
・第9回商業界チラシ・DM大賞のご案内
・第17回JAPANドラッグストアショー
・注目商品&ニュース
・読者アンケート・愛読者プレゼント
・広告索引
編集長より今月の読みどころ
『“活かして生きる者”に向けて』
「消費者」という言葉に、しっくりとしない抵抗感を覚えます。それは、お客さまを「(商品を)費やして消す者」と捉えることへの違和感から来ています。
消費者の代わりに「生活者」と表現することを心がけています。なぜなら、私たちが向き合っているのは「お客さま」と呼ばれ、一人ひとりが個性を持つ「(商品を)活かして生きる者」なのですから。
こう考える人は多いようで、国語辞典「大辞林」第三版では、生活者をこう定義しています。
「人は単に消費するだけではなく、消費活動を通じて生活の豊かさや自己実現を追求しているという考えに基づき、消費者に代わり用いられる語」
お客さまを生活者と捉えると、そこには私たちが自らの商いで喜んでもらいたいと願う相手の顔がはっきりと浮かぶのではないでしょうか。
「あの人に、この商品で笑顔になってもらいたい」
そんなことを考えながら営む商いにこそ、私たちの喜びがあるはずです。そのために私たちは、商品を仕入れ、またはつくるのです。そのために私たちは、店を構え、売場を整えるのです。
商業界草創期の指導者、岡田徹は次のような詩を遺しています(商業界刊「岡田徹詩集」)。そこには、活かして生きる者としてのお客さまをしっかりと意識した商人の愛情が表現されています。
何でも一通り揃えております。
しかし、ロクなものはございません。
――こういう商売のどこに
お客を引く魅力があるだろうか。
AとBの二種類しかございません。
しかし、そのいずれもが
確信のある品でございます。
――こういう特色のある商売の仕方に
お客は大きな魅力を感ずる。
特集「購入率と客単価を伸ばす“店のしつらえ”の技術」では、お客さま視点に立った売場改善を行うことで業績を上げている4人の商人を取材しました。どの店もすっきりとした清潔感にあふれ、居心地の良い空間でした。
彼らは異口同音に言います。
「お客さまにお勧めしたい商品がはっきりとし、自信を持ってお勧めできるようになりました」
結果として、無理な値引きをすることなく適切な利益をいただきながら、お客さまが喜んでくれるようになったそうです。加えて無駄な在庫やロスも減り、経営状態も改善しています。
お客さまを「費やして消す者」と捉えたら商いのフォーカスは、商品という“物”に当てられ、自店の都合が優先します。しかし、「活かして生きる者」と捉えたら“人”を見つめ、彼らの喜びを第一とするようになります。
「消費者と生活者の違いなど、たかが表現上のこと」と思ってはいけません。私たちは言葉によって生きる存在なのですから。
「商業界」編集長 笹井清範
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