M&A業界動向 食品スーパー


食品スーパー業界基本情報



業界定義

スーパーは食品、衣料、生活雑貨を扱う総合スーパー(GMS)と食品を中心に扱う食品スーパーとに分けられる。このうち、食品の売上高が70%以上で売り場面積250平方メートル以上のものを食品スーパーという

 

(経済産業省 商業統計調査による)

市場規模

12兆6959億円(4.4%減)

 

(2009年度日本チェーンストア協会調査。調査対象64社7992店舗)

成長率 年間売上高13年連続前年割れ
業界シェア GMSはセブン&アイ、イオン、ユニーの3グループと西友(米Walmart子会社)を合わせた4グループが大きな勢力となっており寡占化は一段落。食品スーパーはマルエツなど大資本傘下の企業があるものの、大多数は地場企業で上場会社だけでも40社以上あるなど寡占化が進んでいない。


12.7兆円

 




4.4%減

 
主な上場企業(時価総額順: 2010/04/12 現在)
コード 企業名 時価総額
8194 ライフコーポレーション 878億円
8276 平和堂 728億円
2659 サンエー 599億円
8178 マルエツ 570億円
9948 アークス 558億円
8279 ヤオコー 557億円
8182 いなげや 512億円

食品スーパー業界分析



 オーバーストアが常態化。激しいパイの奪い合いで競争激化。


 消費低迷を受け業界全体の売上高が13年連続前年割れであるにもかかわらず、出店意欲が旺盛な企業が多く、オーバーストア状態が常態化している。


 現状の総合スーパー(GMS)は、ユニクロ、しまむら、ニトリ、ヤマダ電機など専門小売業による商圏の侵食によって構造改革を余儀なくされており、ディスカウント店へ の業態転換などの生き残り策を模索している。2009年の薬事法改正で大衆薬の販売開始も可能となり、ドラッグストア分野への進出&資本提携によって商圏の取り込みを図っている。


 営業面では「食の安全」と「低価格化(PBブランド)」に各社力を入れている。また、楽天などネット小売業も食品スーパーの商圏を侵食しているため、「ネットスーパー」を始める食品スーパーもある。


 また、業種としての特徴のうち、最大のものは現金商売であるという点である。事業が軌道に乗ると回転差資金が生まれてくる。この回転差資金を使って店舗展開を進めていくことが可能になる。しかし、正の回転にあるうちは資金繰りもゆとりがあるのだが、逆回転を始めると資金が急速に詰まるケースが多い。同様に、現金商売であるがゆえに経営状態の悪化が表面化するのが遅れることが良く見受けられる。


 

食品スーパー業界のM&A動向



 食品スーパーは新規出店と再編の動きが常時活発で、優良な出店余地は少なくなっている。一方、拡大路線を突き進んできたイオンがここにきて収益性を重視した出店戦略に舵を切るなど、出店一辺倒であった動きに変調も見られるようになってきた。


 食品スーパーはオーナー色の強い企業が多く、「それぞれの企業文化の融合は難しい」と言われてきた。そのため、企業同士の合併・買収というM&Aよりも出店・撤退の一貫として行われる事業譲渡がM&Aの中心となるだろう。もともと小売業は地域色の強い立地産業なので、残り少ない優良な立地に出店しているスーパーはM&A市場でも引く手あまたとなる可能性が高い。


 これとは別に、セブン&アイホールディングスによるアインファーマシーへの資本参加、イオンによるCFSコーポレーションへのTOB(株式公開買付)などのM&Aに見られるように調剤薬局やドラッグストアなどの異業種を取り込む動きがある。


 一方、総合商社が商圏を維持するために大手GMSに資本参加する動きもあった。


食品スーパー業界における企業価値の目安



 食品スーパーは小売業の中では店舗規模が大きく、初期投資が膨らむ傾向にある。そのため財務構造として固定資産(敷金保証金、建設協力金、土地建物、器具備品等)の占めるウェイトが高い。主な食品スーパーの総資産営業利益率は平均6.4%(当社調べ)となっている。営業利益率は平均2.5%であるが、オオゼキ(非公開化)のように7%台という驚異的な数値をたたき出している企業もある。


 EV/EBITDA倍率の分布は3倍〜7倍で全体の65.2%を占めており、最頻値は5倍代(26.1%)である。


 食品スーパー(GMSなどは除く。n=38)のうち、PBRが1倍を超えている企業はわずか6社に過ぎない。この6社ののれん年数((株式時価総額−自己資本)÷営業利益)を計算すると平均は2.46年となる。M&Aでの買収プレミアムを考慮して(直近のTOBプレミアム平均は50%程度)計算しなおすと6.74年となる。したがって、のれん指数としてはおおよそ2.46〜6.74年が目安であるといえるが、業績が安定した企業のみを母集団としている点には留意されたい。